エルタカニーナの秋 Via dell’Erta Canina, Autumn

エルタカニーナは曲がりくねった坂である。いよいよ坂の下が見える曲 り角にやや平坦な踊り場があり、そこからは真直ぐ急峻な下り坂が続く 。右側のオリーブ畑を隔てる堅牢な石塀は急峻な坂と踊り場で形状が異 なり複雑である。この力強さを絵にしたかった。この踊り場からはアル ノ河を隔てて随分距離はあるのにダンテが眠ると称されるサンタクロー チェ教会が間近に見える。前年の秋から大病をして6箇月間入院し、すん でのところで命を落としかけた私が、再びエルタカニーナに戻って来ら れた幸せに、晩秋にもかかわらず、絵は喜色で満たされている。 

2002年 油彩、カンヴァス 50x35 (54x39) cm

フィレンツェに恋した画家 大森邦彦展

フィレンツェに魅了されてからの25年にわたり、彼の地を描き続ける画家・大森邦彦。 2020年1月28日〜2月9日まで銀座大黒屋ギャラリーで、待望の帰朝展が開催。

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